熊野古道を歩き神々に祈る

09.9.13(日)~15(火)

今年は長女の発案で熊野古道を歩くことになった。企画は小生に下命された。娘の必須の希望は熊野本宮大社及び那智大社・滝が行程に入ること。
インターネットで発見した一日一組限定の民宿「熊野古道いろり庵」に初日の宿泊を予約。その宿のご主人に古道歩きのアドバイスをいただき、初日は牛馬童子口から近露王子を経て「いろり庵」まで歩くことにした。 (約2時間余りのコース)
特急くろしお7号で紀伊田辺駅に着く

駅前広場には勇ましい弁慶の銅像 。武蔵坊弁慶は「義経記」の記述から地元では和歌山県田辺市生まれと信じられている。
紀伊田辺駅前のバス停にて。
龍神バスに乗って牛馬童子口に向かう。


1時間余りで牛馬童子口に到着。ふれあいパーキングにて昼食。

娘と小生は「雉丼」 。雉の肉はさっぱりとしている。

女房は「梅うどん」
いよいよ「熊野古道」に入る。荷物はいろり庵のご主人が宿まで車で運んでくださる。

杉の木が林立する山中の古道を行く。緩やかな登りが続く。
約20分あまりの ウォーキングで「牛馬童子像」に到着。平安時代の花山法皇の旅姿を忍んで彫られた像とか。
しばらく古道を下ると木立の間から里が見え始めた。

森を抜けて石畳の坂を下って近露の郷を目指す。
坂道の途中にある休息場所で記念写真。
いろり庵主人お薦めの中辺路美術館到着。が、残念ながら休館日だった。
本日三つ目の 目標「近露王子」に到着。王子とは法皇など高貴な貴族が熊野本宮参拝するときの休憩場所として造られた神社のこと。総称して九十九王子と呼ばれてるが、実際に99箇所あるのではなく大変多いの意とのこと。

近露王子の横に立てられた「熊野古道和歌集」
近露王子を後に今日の宿「いろり庵」に向けて出発です。ここから上り坂が続く。

最後の500メートルが誰もがへばる難所とか・・・・・。
近野小学校。グランドがすべて芝生で美しい。

そして再び森の中の古道を行く。登りが続く。 そこらじゅうから神々のヒソヒソ話しが聞こえてきそうな雰囲気だ。
最後の急な坂で女房はギブアップ。宿の主人が一人旅の客を近露王子に向かえに行った帰りの車に乗せてもらった。しかし、小生と娘は最後まで歩いて「いろり庵」へ到着。宿の前の景観は素晴らしい。
いろり庵には客用の風呂がないので、近露の郷にある「民宿ちかつゆ」が運営する温泉に送迎してもらう。温泉でゆっくり体をほぐした後は待ちかねた夕食。
「アマゴ焼きと鹿肉のから揚げ」。このアマゴ、地元では小雨という。小雨のときによく取れるからだそうだ。


自家栽培の野菜など地元食材の先付けといった感じの料理たち。

熊野の名産料理、「さんま寿司とめはり寿司」。おばあちゃんの手造りだそうだ。これで3人前。

「原木椎茸と熊野牛
肉厚の椎茸です。
「野菜の天ぷら」「しそ、雪ノ下、むかご、お茶の新芽」など

本日のハイライト「鹿の刺身」。鹿が増えて害獣として処理されたものがたまたまタイミングよく入手できたものだ。やわらかくさっぱりした味わい。もちろん新鮮だから臭みはない。久しぶりです。運が良かった!!冬は獅子鍋だそうだ。

「自家製かぼちゃのポタージュ」

地酒「黒牛純米酒」


「鮎そうめん」。しこしこ麺と芳ばしい鮎が絶妙なコラボだ。


食事の後はオプショナルツアーの星空観察。いろり庵の向かいにある山の林道を車で10分程度上がったところに人工の明りに影響されない絶好のビュウポイントがある。今にも降り注いで来そうな満天の星だ。大いに感動した。写真はうまく取れなかったけど・・・。帰りには車の前方を野うさぎが走る。横に逃げればいいのにライトの前方を走る。

朝日を受ける「いろり庵」
朝食です。一人旅の女性と一緒にいろりを囲んで食べた。
いろりの上においてあるのはたっぷりの「茶粥」。爽やかな風味ですいすい入る。もちろんいろりに火は無い。


「味噌汁、おばあちゃんの漬物、玉子焼き、紀伊の海で取れた鯵の一夜干し」、そして塩抜きした「煮た梅干」これが絶品だ。


同宿のK女史と記念写真。1日一組が売りで原則の宿ですが、先約のKさんが快く同意してくださったお陰でこの日に希望が適った。快活で美人のKさんと主人に感謝だ。

昨夜の食事中に主人と相談して、発心門王子から本宮大社に至る3時間余りのコースを歩く。昨日の体験を踏まえて無理が無いように緩やかな下りコースを選んだ。

スタートの発心門王子前。
水が溜まるとシーソー原理で腕が動いて烏など害鳥を脅す楽しい設えだ。

「歯痛の地蔵さん」です。旅の道中の歯痛はとても辛いものだ。我々も祈った。
「水呑王子」。湧き出る水はとても美味しく、ペットボトルに注いで行く人を見かけた。直ぐ傍に廃校になった小学校跡があり一抹の寂しさを醸している。
NHK朝の蓮ドラ「ほんまもん(池脇千鶴子主演)」に度々登場した風景だ。
「伏拝王子」に到着。休憩所でしばし休息。コーヒーが旨い。
NHK朝の蓮ドラ「ほんまもん(池脇千鶴子主演)」の撮影場所。ここで料理を提供する場面を撮影したのだろうか?
ほろ酔い叔父さんが居て周辺の山など説明してくださった。写真も撮ってもらった。
再び山中の古道を行く。緩やかな下りだ。
熊野本宮大社に到着。中の本殿は撮影禁止。本殿は三殿あってお参りの順番は、向かって中央の主神・家津美御子神(けつみみこかみ)、左の牟須美(むすみ)速玉(はやたま)の両神、右の天照大神の順と決まっている。
参道の階段は急峻だ。
参詣の入り口大鳥居の前にて。 熊野交通バスで新宮駅に向かう。
JRに乗り継ぎする新宮駅。特急くろしおで一駅の勝浦駅へ。
紀伊勝浦駅に到着。港まで歩いて7分程度。
今夜は、勝浦観光港から渡船で3分のところの「ホテル中の島」に宿泊。

夕食は個室懐石です。量が多すぎて・・・・。
帰りの渡船から写した「ホテル中の島」
勝浦駅で観光タクシーに強く誘われたが、行く場所が滝と大社に限定なので、バス会社の女性に相談した結果、熊野交通の路線バス往復キップを購入。約40分余り行くと「那智の大滝」。滝の落差は133メートル。今回も主として下りのコースを選択。

滝にお参りした後は、急な坂道を登り那智大社に向かう。この坂を登りきると後は下りだ。
三重の塔側から那智大社の前まで来た。振り返ると滝と三重の塔並んで見える絶景に出会える。
娘が 大門坂で着ようと計画していた平安衣装の着用体験 この那智大社でも出来ることが分かった。雨が降っているし時間もあまり余裕がなかったので、大門坂歩きは取りやめて、大社で平安衣装を着るなどしてゆっくり過すことにした。雨天のため外を歩くことはできなかったが、室内で記念写真をたっぷり撮ることができた。境内散策コース2,000円だ。
大社に諸々のお願いをする。

下りコースなので最後に鳥居となった。神々の気配を感じ続けた3日間の熊野の旅だった。



帰りの特急くろしお26号が18分遅れで新大阪に到着したため、新幹線を変更しなければならなかった・・・という落ちが最後に待っていた。

熊野古道には別の季節に是非また行きたい。そして、今度はフルコースを歩き、再び「いろり庵」に泊まって、獅子料理を味わい、違う季節の満点の星空に感動し、今度こそ山々の裾を埋め尽くす雲海を見たいものだ。

ちはやぶる熊野の宮のなぎの葉をかはらぬ千代のためしにぞ折る/定家

「熊野古道いろり庵」和歌山県田辺市中辺路町野中2007の2 ℡ 0739-65-0105


最近読んだ本:旭日殺人事件:内田康夫著/講談社文庫

最近観た映画:TOHOシネマズ「20世紀少年最終章」、シネツイン1「女の子ものがたり」

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