そば料理 ふくべ三

09.5.8(金)
ゴールデンウィークの長い休み明けの勤務はなんとなく気だるい。二日働いて明日からまた休みの金曜日。アンニュイな夕暮れには美味い日本酒と蕎麦が似合う。何かと理由をつけて「蕎麦料理 ふくべ三」。晩春初夏のそば料理でゆったりまったりしました。



付き出しは、「みょうがだけ」。春のみょうがは土から槍のように突き出たばかりのものを薄い輪切りにして使います。味噌と摩り下ろした木の芽で和えてあります。みょうがと木の芽の芳しい生生しい春の香りと苦味が舌を擽ります。急いで「麒麟一番搾り」を飲み干して、日本酒へ。小生の最初の定番は、「富久長」。今日は「八反草特別純米酒」です。前岡公子店長、先日安芸津の今田酒造を訪問されたそうです。美穂さんお元気だったとか・・いいね!


初体験「地穴子塩わさび」。穴子は生きているものを直ぐに調理しないと臭みが残るそうです。生き締めにしたもで試したが臭みが出てダメだったそうです。塩をして暫く置き、湯引きしたものです。脂がほど良く抜けてその旨みが上品にしっかり残っていて、歯ごたえもよく美味いのです。


「甲いかと青大豆の木の芽漬け」。甲いかのコリッ、大豆のコリッ・・大豆のコクといかのあっさりが素晴らしいコラボです。この風味に負けないお酒は「竹鶴純米原酒大和町雄町」。濃い酒に拘る石川杜氏の矜持を感じます。

そして、夏でも燗酒の小生としては、最後のお酒は「華鳩純米生酛原酒」を温燗でいただく。馥郁たる風味です。合わせる肴は「絹さや蕎麦粉天ぷら」。もう何も言うことはありません。


その時、入り口の白い長い暖簾を割って涼やかな風が入って来ました。


さあ、笊蕎麦を手繰ろう。ずるずるずる~!!


蕎麦湯は頑張った舌や胃袋を癒してくれます。


最近読んだ本:「生命の木の下で」多田富雄著:新潮文庫
著名な免疫学者のエッセイですが、その中に日本酒に関するこんな一説がありました。

「日本酒への不満」
純米大吟醸とか限定醸造とか、・・・でも、こういう名醸酒は、毎日晩酌に飲むものではない。気分を改めて恭しく飲むものだ。毎夕、目刺しや冷奴で頂くにはコクがあり過ぎる。フマール酸などの香りや極味が強すぎるのだ。
・・・
大体日本酒は努力していない。いい酒をつくるのに、米を削って芯の部分だけを使って、精魂込めて醸造すればいいと思っている。本当は、熟成させて複雑な化学反応を起こさせるなど、ワインと同様な努力をして初めていいお酒ができる。新酒を1年で売りつくすようなレベルでは、文化としての酒は育たない。
などとブツブツ言いながら、友だちお持たせの大吟醸を1本飲んでしまった。ごめんなさい。

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